商品の生産者
にんにくに健康商品としての付加価値を
農協に卸すにんにくは、通常A級品からC級品まで商品によりランクが付けられます。
傷もの、サイズが小さい、形が悪いなどといったランクの低いにんにくは、
流通に乗せることができずに破棄されたり、販売価格が大きく下がったりという課題があり、
生産者の悩みの種でした。こうした中で、にんにくの付加価値を高めるために誕生した加工品が「黒にんにく」。
東北町を発祥として、黒にんにくは各地に広がり、今では健康意識が高い消費者をターゲットに、
県内の新たなビジネスチャンスとしてブームを巻き起こしています。
偶然が生み出した健康黒にんにく
黒にんにく誕生のきっかけは、にんにくから芽が出るのを抑えるために使用していた農薬の代わりに、
熱処理を加えてみたところ、黒く変色したことが始まり。
口に入れてみると驚くことににんにく独特のにおいがなく、甘酸っぱい味が!
これは、熟成の過程でにんにくのにおいのもとであるアリシンという成分の働きが抑えられ、
発酵により糖度が増すことが理由なんだそう。
弘前大学でその成分を検査すると、ポリフェノール値が白にんにくの10~11倍という結果に。
ポリフェノールはコレステロールの低下や老化現象のもとと言われる活性酸素を除去する働きがあり、
体の美と健康をサポートしてくれる健康商品として認知されるようになりました。
また、においの少なさやドライフルーツのような食感で食べやすいということも相まって
近年さらなる人気を高めています。
遠赤外線を利用した独自の製法で最高級の黒にんにくへ
通常、炊飯器で1週間で黒にんにくを作るところを、
丸岡ファームでは遠赤外線を利用して、30日間じっくりとにんにくを熟成させて作ります。
これまで何度も試作と失敗を繰り返し、1年半もの試行錯誤のうえ商品化へとたどり着きました。
また、自社農場でにんにくの生産から加工までワンストップで行うため、
その年の気候や時期に合わせた臨機応変な管理ができ、
安定した品質を提供することができるのです。
黒にんにくの魅力を世界に発信
丸岡ファームでは中国やベトナムなど、海外から研修生の受入れを行っています。
この取り組みを始めて今年で16年目となり、これまでに20名程度の海外研修生が農業を学び、
母国でこの経験を活かしています。
黒にんにくは意外にも好評で、
今後は健康志向の高い人をターゲットに国内外に向けて魅力を発信していきたいと語っています。
(丸岡ファーム株式会社 代表取締役 岡山時夫)