商品の生産者
野辺地町から発信するコーヒー文化
野辺地町にある「BIWANO52 Coffee Factory」。㈱ビワノコーヒーが経営する店舗です。店内には常時約25種類のコーヒー豆が用意されており、ドリップやサイフォンなどお好みの飲み方で味わうことができます。お店の顔ともいえるブレンドコーヒーは焙煎の技術で苦みや渋み、雑味を飛ばしており、コクを重視した飲みやすくクリアな美味しさです。
店名の52という気になる数字は代表の松山浩人さんが店舗を開店した時の年齢です。「コーヒー文化を広めたい」という気持ちでスタートした初心を忘れないためにお店の名前に思いを込めました。コーヒーの味や香りだけではなく、コーヒーの持つ魅力の全てを実際に体験してもらって、コーヒーの魅力を広めていきたいというのがオープン当初からの松山さんの目標です。
「いい香りって人を幸せにするんです。コーヒーを飲むときのちょっとした時間は人の心を穏やかにしてくれます。そういう時間や体験が好きで、そういった部分も全てひっくるめてコーヒー文化という言葉で表現しているんですけど、それを伝えたいですね。」と松山さんは話します。
守り伝えたいもう一つの文化
松山さんが守り、広めたい文化は他にもあります。それが野辺地町特産のカワラケツメイ。北前船で上方から伝わったカワラケツメイは野辺地町に根付き、かつては数十件の農家で栽培されていました。しかし、現在では二件の農家と観光協会で栽培されるのみとなっていました。そんななかで松山さんはカワラケツメイを栽培する農家の方から相談を受け、カワラケツメイの文化を引き継ぐことを決意。現在はビワノコーヒーを経営する傍ら、カワラケツメイの栽培を行っています。地元の商品を全国の皆さんにお伝えしたい、と松山さんは話します。海、山、川と自然に恵まれた野辺地町の魅力を発信したい、地元の文化を守りたいという強い思いから松山さんはものすごく手間のかかる作業を引き継ぎました。
一切妥協しない一杯のコーヒー
コーヒーの良さを伝えるためには、まずは自分がその知識を持たなければいけないと松山さんは話します。その言葉の通りビワノコーヒーは「東日本コーヒー商工組合(全日本コーヒー商工組合連合会)」に青森県で唯一加盟しており、最新のコーヒーの情報を学んでいます。
一杯のコーヒーを淹れるためにも松山さんは様々な手間を惜しみません。例えば欠点豆を取り除くハンドピックと呼ばれる作業は合計で三回行われます。コーヒー豆の焙煎についても毎日データを取り、そのデータと知識、経験から最適な焙煎を行います。焙煎はその日の温度や湿度によって同じようにはいかない作業です。
「コーヒーの成分はおよそ400種類あるんです。その成分をカップの中にどういう割合で出すかで味が変わります。」と松山さんは話します。コーヒーは同じ豆でもお湯の温度や、抽出の時間などで味が変わります。その無限大の味を持つコーヒーを美味しく提供するために松山さんは一切の妥協を許しません。
コーヒーのテーマパーク
松山さんはビワノコーヒーのことを『コーヒーのテーマパーク』と表現します。様々なコーヒーを飲めるのはもちろん、コーヒーについて幅広く学べるコーヒー教室も開催しています。店舗内を見回すとコーヒー豆で店舗名を書いたオブジェや、コーヒーを焙煎したり淹れたりする機械、実をつけたコーヒーの木などが置いてあります。コーヒー教室では店内で採れたコーヒー豆を実際に焙煎して色が変わるところも受講者に見せているそうです。松山さんはコーヒー教室の受講者に実践的なお話から、コーヒーの歴史といった雑談まで、コーヒーのことを余すことなくお話しています。
コーヒー初心者から筋金入りの愛好家まで、コーヒー好きなら誰でも全身でコーヒーを楽しむことができるテーマパークがビワノコーヒーです。