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地元のいいものを使っていいものを作る確かな技術

2023 03.15 Wed

地元のいいものを使っていいものを作る確かな技術

六ヶ所村

名馬の里の創業100年のお菓子屋さん

六ヶ所村の名前の由来をご存じだろうか。
古くからこの地域は名馬の産地として知られ、鎌倉時代に源頼朝の軍馬となった名馬「生食(いけづき)」が生まれた地と言われている。
いけづきに縁のある6か所の地が集まって六ヶ所村と呼ばれるようになったそうだ。

今回お話を伺った秋月堂は、いけづきが鎌倉に引き渡されるために泊まったと言われる「泊(とまり)」という町にある。
泊は六ヶ所村の北部に位置しており、すぐそこはもう東通村だ。
眼前に太平洋が広がる自然豊かな泊は山の幸も海の幸も豊富で、海岸線に沿って栄えた町は古き良き港町の風情が感じられる。

その街並みの中に見えてくるオレンジ色と黄色が鮮やかな看板が秋月堂の目印だ。

この日は秋月堂(しゅうげつどう)で和菓子を製造している遠田(えんだ)薫さんにお話を伺った。
薫さんは創業から数えて三代目。秋月堂は大正11年(1922年)創業で、インタビューに伺った2022年はなんと創業100周年だという。
創業当時はお菓子が入った箱を背負って遠くは野辺地まで出かけていたという。
現在のむつ市にある近川から鉄道が通っていたというが、太平洋側の泊からむつ湾側の近川までの相当な距離を歩いていたそうだ。
そんな長旅の中で、秋の横浜越のときに背丈ほどの草を掻き分けつつ見た太平洋から上る月の美しさから「秋月堂」という名前を付けたそうだ。

秋月堂の代表は薫さんの兄で代表を務める遠田悠行さん。残念ながらインタビュー当日は東京のイベントに参加しており、お話を伺うことはできなかったが、秋月堂のホームページには悠行さんが作る「ブルーベリーチーズろーる」や「春巻きりんご」「雪下りんごぱい」など、他にはない美味しそうなお菓子が掲載されている。
秋月堂で洋菓子を始めたのは悠行さんの代からだそうだが、今ではインターネットで検索してみると悠行さんの作る洋菓子の記事の方が多く出るくらい看板商品となっている。

主役は地元の食材

今回のインタビューに際して薫さんは実際に販売しているお菓子の一部を用意してくれていた。ようかん、まんじゅう、団子など…美味しそうな和菓子の王道が並ぶ。

しかし、気になるのは商品パッケージの「うに」「長芋」「とろろ」といった文字。

とても和菓子とは思えないような文字が印字されているが、実はこれこそが秋月堂のお菓子ならではの特徴だ。
泊のうに、六ヶ所村の長芋、そしてお団子に使われている青森県産つがるロマン。どれも地元の美味しいものを使った和菓子なのだ。

なかでも目を疑ったのは「うにようかん」。うにといえばご飯の上に盛りつけてお醬油を垂らしわさびを添えて…想像しただけで口の中が幸せになってくるが、目の前にあるのはうにのようかん。本当に美味しいのだろうか。

薫さんはうにようかんを一本取り出し、試食用に切り分けてくれた。

見た目は鮮やかで綺麗なオレンジ色、うにの身の色だ。
美味しいですよと勧めてくれる薫さん。
大変失礼だが、少し身構えて半信半疑で一口食べてみた。
すると口に含んだ瞬間に広がる濃厚なうにのうまみと、鼻に抜ける香りに驚く。そのあとにようかんの甘さが口に残る。

驚いたのはうにの味。このうには絶対にいいうにだ。間違いない。
余談だがライター加藤は青森県内のとある港町に生まれ、幼少期から海産物に慣れ親しんでいた。だからこそ獲れたての濃厚なうにの味に驚いてしまう。
薫さんによると、餌が豊富な泊のうには評価が高く、地元以外ではなかなか手に入らないうにらしい。その上質なうにを風味が飛ばないように、あんこが炊き上がってからふんだんに練りこんだ贅沢なようかんだ。

その他にも、もち米ではなく青森県産のつがるロマンを使用したお団子「ごま六」やながいもを練りこんだ餡を使用した「とろろ饅頭」、泊産のうにを練りこんだ「うにの里」など、お皿の上に並ぶお菓子は全て地元の食材を使ったお菓子だ。

名馬の名を冠した自信作

うにようかんの試食で盛り上がった後、薫さんはお皿の上から一番のオススメだというお饅頭を選んで、包丁で半分に割った。

その切り口は粒あんと、なにか白いものが包まれている。この白いものが六ケ所村名産のながいもだ。蒸してみつ漬けにした輪切りのながいもはしっとりと柔らかく、粒あんの舌触りに独特のほっくりとしたとした食感を加えている。上品な甘さのこのお菓子の名前は「いけづきの里」
冒頭で紹介した六ヶ所村の名前の由来となった名馬の名前からとっている。
いけづきの里、つまり六ヶ所村そのものの名前がつけられたこのお菓子には薫さんの想いと期待が込められている。

生産者インタビューのはずが…なぜか六ヶ所村観光気分?

うにようかん、そしていけづきの里。どちらのお菓子もとても美味しかった。
私は大変失礼なことに、六景楽市のインタビューに関わるまで泊のうにや、六ヶ所村のながいもが特産品であることを知らなかった。同じ青森県に住んでいながら六ヶ所村といえば核燃料サイクルや、風力発電などのエネルギー産業のイメージばかり持っていた。
それゆえに薫さんのお話は六ヶ所村の魅力的な部分に触れていて、どれも新鮮で面白くついつい聴き入ってしまう。

薫さんによると、泊の沖合は独特な地形で、うにの餌である真こんぶなどの海藻が豊富に生えているそうだ。餌に困ることなくたっぷりと海藻を食べて育ったうにの味は評価が高く、身入りも最高だ。

しかし、そのうにはいつでも漁獲されるわけではない。泊のうにが水揚げされるのは一年のうちでたったの3回だけ。非常に希少価値が高いうになのだ。うにが水揚げされる3日間は一家総出の一大イベントとなるそうだ。

「まさか兄が戻ってくるとは思わず、店舗の外観をうにの色にしちゃいました。」

と薫さんは笑った。
悠行さんは数年前まで、八戸市で洋菓子店を経営していたそうだが、悠行さんが居ぬ間に店舗の色まで泊特産のうにの色にしてしまうほど薫さんの泊への愛情は深いようだ。
地元トークが冴えるのも頷ける。

その他にも六ヶ所村では粘りの強いながいも「ネバリスター」が特産でお菓子にも使用していることや、泊ではうにだけではなく昆布漁も盛んで時期になるとあちこちで干されていることなど、六ヶ所村の美味しいものから文化まで様々な事を教えていただいた。

ライター加藤はプライベートで何度も六ヶ所村を訪れ、様々な施設を見て回っていたが、今日ほど六ヶ所村のことを知ることができたことはなかった。六ヶ所村はエネルギーだけではない、その魅力はもっともっと奥が深いんだということを知った。

仕事で伺ったのに美味しいお菓子を味わい、六ヶ所村ガイドを聴くことができて、薫さんのおかげで六ヶ所村ツアーを回ったような、充実した休日を過ごした気分になった。

美味しい食材をもっと美味しくする確かな技術

忘れてはいけないのは、個性的なお菓子が並ぶ中、お菓子そのものの質が高いところだ。
確かに今回いただいたお菓子は使用している特産品に目を奪われてしまうが、お饅頭の皮はしっとりとやわらかく、あんこはなめらかで、お菓子そのものが美味しい。

「いいものを使って、いいものを作る」

その言葉の通り六ヶ所村の特産品をはじめとした美味しい食材を使い、高い技術でお菓子にする。
小豆を煮る際も、添加物など余計なものは加えず全部一から作るそうだ。一日がかりの作業になるが、一切妥協はしない。この姿勢は悠行さんも同様だ。

「兄が作ったロールケーキのスポンジは兄でなければ持てないくらい柔らかいんです。」

ジャンルは違えど同じお菓子の職人の薫さんですら扱えないくらい柔らかなスポンジ。そのスポンジを作り、ロールケーキにすることは悠行さんにしか出来ない技だ。パイ生地も既製品は使わず自分で折るそうだ。
どの工程も高い技術が必要で手間がかかることは容易に想像できる。それでも一切妥協はしない。

「息子が小豆を煮てくれるんですが、今では私よりも上手に煮るんですよ。」

と話す薫さんは嬉しそうだ。

100年もの長い時間受け継がれてきた技術は、薫さんや悠行さんが守り、育て、そしてまた次の世代に繋げられている。

最後に今後の目標を聞いてみた。薫さんの答えはシンプルなものだった。

「広めるとか売り上げを伸ばすよりも、地元で必要とされる分をしっかりと守っていきたいです。」

秋月堂のお菓子は法要や催し事があれば必ず必要とされる。100年もの間、泊で愛されてきた秋月堂のお菓子は今も泊になくてはならない存在だ。

いつも身近に当たり前のように美味しいお菓子がある泊の人たちがうらやましい。

ライターメモ

インタビューの帰りに、お皿の上に並べられていたお菓子をお土産に頂いた。

会社に戻りスタッフと頂いたが、どのお菓子も大好評だった。
一番人気はもちろんいけづきの里。薫さんのオススメはやはり美味しかった。
うにようかんは一人のスタッフが「焼酎のお供だな」と呟きながら持ち帰った。

ライター加藤は下戸のため気付かなかったがこのスタッフによると、うにようかんは酒の肴にもオススメらしい。

EDITOR

この記事の作者

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加藤友樹

株式会社ジーアイテック
https://www.gitec.co.jp/
鯵ヶ沢町出身、八戸在住のライター。津軽も南部も知り尽くす、青森県愛好家。
青森県出身にも関わらず、青森県を堪能したいと常に熱い情熱を注ぐ。

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